あずまし家とは

特定非営利活動法人 あずまし()とは

 平成15年4月1日に認可された特定非営利活動法人です。法人名はあずまし()です。「あずましい」は、北海道弁で「こころ休まる」といった意味です。


メッセージ

代表理事 越田 伸哉

 平成7年から始まった精神障害者との活動の中で、「持たないでいても豊かに生きる」ことが、とても大切だと気付きはじめました。しかしそれを実際の活動の中で求め続けるのは、とてもとても大変なことでした。「どうしたらそうなれるのか?」を追い求めるうち、多くの衝突や非難、無関心、中傷といった痛みを伴いながら、次のような知恵を身につけてきました。

  • 欲張らないこと
  • ゆっくりと生きること
  • 「だめだ」と思う自分を大切にし、隠さないこと

 最近やっと少しだけ「弱さを開示できることが、私たちの強みであること」に自信を持ち始めているところです。

私たちはいま、

  • 地域活動支援センター まる商なはは
  • 就業継続支援(B型)事業所 シフォン亭ほやほや
  • グループホーム エルム、メゾンス、メトロ

という3つの活動の場を持っています。それらはすべて、「持たざる者も豊かに生きられる社会であることに貢献する」ことを目指しています。

 障害やそのほかの生きづらさを持つことで学んだ知恵や経験が、そのための力になると信じています。

平成23年5月1日
代表理事 越田 伸哉

 


もう少しあずまし家について

始まりは、グループホーム

 はじまりは、平成7年9月開設の一つの精神障害者のグループホームです。一人暮らしする自信がなく精神病院に入院することを余儀なくされていた、4人の精神障害者の生活の場としてスタートしました。運営は病院職員のボランティアで、言ってみれば職業意識が活動の大きなエネルギーでした。
 当時、「ノーマライゼーション」、「当事者主体」という言葉が、福祉に携わるものにとっての大命題でした。障害があってもごく普通の生活を、ご本人の積極的な発信にもとづいて…。温かい食事を提供し、夜にはスタッフが訪問し語らい、利用者自らが企画したレクリエーションで楽しむ、などなど。「本当にここに来てよかった」と、しみじみ話し合いました。しかし活動を続ける中で、心地よいグループホームの外へは、利用者の活動はなかなか広がりませんでした。いくつかの日中活動を試してみては、人間関係の行き違いに戸惑い、傷つき、次第に居場所も人間関係もグループホームの中だけで完結することが当たり前になってきました。
 利用者からは「安全で安心でも、この先自分はどうなるのかが見えない停滞感」がにじみ出て、支援者からは「これだけ安全な場所を確保しているにもかかわらず、次に発展しない苛立ち」が表現されました。苦悩し、立ち止まりながら、あっという間に5~6年の歳月が流れました。

小規模作業所の立ち上げ

 当時、私たちがたどり着いたのは、「自分たちに必要な、自分たちにもできる苦労がある日中の活動場所を、自分たちで作ってみよう」というものでした。皆で、ボランティアさんの作ってくれた夕食をともにしながら、構想を練りました。キーワードは、「家から出て人とつながること」「苦労し、何かの役に立ち、充たされることを感じること」でした。そして、まったくお金がない中で、自分たちで手作りした地域通貨を発行することを事業とした小規模作業所を立ち上げました。平成14年のことです。
 紆余曲折はあったものの、しばらくは「苦労し、何かの役に立ち、充たされることを感じる」ことを求めて地域の美観活動や花壇づくり、喫茶店経営、そして現金収入を得て新たな貢献も行う場としての宅配ケーキ店の開設とその思いをかたちにしていくことができました。

新たな課題

 しかし、そうした活動の広がりは新たな問題も生み出していきました。
 つながりが広がる中で生じる思いの行き違い、責任性の所在、資金の確保といった関係性の中での現実の問題。また自分たちだけの小さな世界の中では分からなかった、自分がしたいことを必ずしも自分ができるわけではない、自分がしてあげたいことを必ずしも相手がしてもらいたがっているわけではない、という自分自身の現実の問題。
 これらは、一見メンバーの課題のように見えましたが、実は若干の程度の違いと巧妙に見えづらくなっている点を除けば、そのままスタッフの課題でもありました。発展と思えていたことが私たち自身の首を絞め、身動きが取れなくなっていました。しかもそのことは、決して表で語られることはなく、陰で深く進行していきました。

3つの気付き

 そのうち、こんなことに気付きだしました。この場で必要な私たちにとっての発展とは、どうも「何かができるようになる」ことではないのではないか。もっと正確に言うと、

  1. 「早くできるようになる」「たくさんできるようになる」「要領がよくなる」ことではないのではないか?そうしたことができる「勝ち組」になり何か(お金や名誉)を持つことではなく、『持たないでいるままで豊かだと実感できる瞬間』を大切にすることなのではないか。
  2. 仲間内での活動だけでは「豊かだ」と実感し続けることはできないのではないか。何らかの「社会」と関わりそこに貢献することでこそ、そのことでとても多くの「苦労する」ことでこそ初めて、「豊かだ」と思えるのではないか。自分たちの活動に必要なのは、その『苦労をする機会』であったはずなのに、それを避けていたのではないか。
  3. 障害などによる生きづらさや要領の悪さといった特徴を持つ私たちが、『苦労をする機会』をもち、かつ「社会に貢献」していくことを継続するためには、ある工夫が必要。それは
    • もっとやらなきゃと、欲張らないこと
    • 急がずゆっくりと進んでいくこと
    • その中で起こる「私ってだめだ」感こそ大切にし、それを仲間に隠さないで、たいせつなこととして共有すること

    ではないか、と感じたのです。

 しかし、それを実際の活動の中で貫くことは、とても、とても大変なことでした。そのころ運営は病院職員の手を離れ、若く当然経験も少ない職員と利用者とで、特に「だめな自分を大切にする(隠さない)」ことをめぐり多くの衝突が起き、何かに貢献することさえ忘れてしまいそうにもなるときもありました。
 そんな格闘とともに、活動が始まってから15年以上が過ぎました。本当にあっというまの時間でした。

 今も日々の活動の中心は、自分たちの中にそのときに起こる様々なことを何とかなんとかしのいでいく、といったところです。しかし少しだけ、外に発信することに時間がさけるようにもなってきました。このホームページを通して伝わることが、何かみなさんにとって価値あることであれば幸いです。

 


所在地

〒062-0933

札幌市豊平区平岸3条13丁目1-2 AMS平岸313 202号室(『まる商なはは』内)

Tel: 011-807-8249

Fax: 011-827-8995

火曜日~土曜日(祝日、年末年始を除く) 10時~17時30分


沿革

平成7年9月
有志によりグループホーム エルム運営委員会立ち上げ。
グループホーム エルム開設。
平成14年2月
グループホーム建物の一室で、「フリースペース エルム」として無認可の日中活動を不定期に開始。
平成14年4月
フリースペース エルムが週一回の定期開催になる。
平成14年11月
フリースペース エルムが中央区内のマンションの一室に移転。無認可小規模作業所「まる商なはは」に改称。
平成15年1月
まる商なははにて、エコマネー「郷」試験流通開始。
平成15年4月
運営主体として、「特定非営利活動法人 あずまし家」を設立。
まる商なははが、小規模作業所として札幌市から認可される。
平成15年5月
まる商なははが、中央区内で戸建て物件に移転。
平成16年6月
「グループホーム ふじ士」を北区に開設。
平成16年12月
週一回の就労体験として喫茶店「まる茶なはは」を、中央区内のマンション一階にオープン。
平成17年6月
まる商なははが、札幌市とアダプト制度契約を締結。違法ビラ撤去、花壇管理開始。
平成17年8月
グループホーム エルムが西区に移転。
平成18年6月
まる茶なははを発展的に解消。中央区南19条西7丁目に「シフォン亭ほやほや」を開店。菓子製造業、宅配を始める。
平成18年10月
まる商なははが、中央区内で電車通り沿いに移転。
まる商なははが、地域活動支援センターとして認可される。
平成18年11月
ラジオカロスの「やまはな明日もいい天気」に、8組のパーソナリティのうちの1組としてあずまし家が参加、放送開始。
平成19年1月
シフォン亭ほやほやが、就労継続支援事業B型として認可。
平成19年8月
グループホーム エルムが豊平区平岸に移転。
平成19年10月
「グループホーム モア平岸」豊平区平岸に開設。
平成20年8月
グループホーム ふじ士、閉鎖。
平成20年10月
「相談室ほくほく」を南区澄川に開設。
まる商なははも相談室併設型として、澄川に移転。
平成23年12月
「グループホーム メゾンス」豊平区平岸に開設。
平成24年5月
シフォン亭ほやほや、豊平区平岸3条13丁目に移転。
平成24年12月
「グループホーム メトロ」豊平区平岸に開設。
平成26年9月
「まる商なはは」「相談室ほくほく」澄川3条1丁目に移転。
令和4年3月
「まる商なはは」豊平区平岸3条13丁目に移転。「相談室ほくほく」閉鎖。